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古くから、日本の食養生の基本とされてきた「身土不二(しんどふじ)」。心身と風土は一体のものであり、自らが住む場所から四里(16km)四方で採れた旬のものを食べることが、健康には最もいいと教えている。この身土不二にこだわった料理が食べられるのが、岩泉町の観光・情報拠点「ふれあいらんど岩泉」敷地内にある郷土食レストラン「ふるさと薬膳 縁樹(えんじゅ)」だ。
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ふれあいらんど岩泉のセンターハウスに「ふるさと薬膳 縁樹」はある
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広々とした店内。窓の向こうはロックガーデンと緑の山々
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運営するのは岩泉町内の女性19人で構成される「岩泉町・食と農を考える女性の会」。同会は平成10年に地場産品加工研究会や生活改善グループのメンバ−が始めた、郷土食の伝承活動が母体になっている。「もともと岩泉町は食材がとても豊富な地域。講習を通して皆で勉強をしていたんです」と、会長の昆東子さんは当時を振り返る。地場の食材を勉強した末に生まれた同店の料理は、まさに「ふるさと」岩泉の魅力がたっぷり。だがもうひとつ、他所にはない特徴がある。中国で生まれた健康料理「薬膳」のスタイルをとっているのである。
薬膳は、薬と食物は源が同じという「薬食同源」の考え方に基づいたもの。平成12年、レストランの開店を1年後に控え「ただの郷土食ではなく体にいいメニューを試行錯誤していた」という昆さんらは、さっそく専門家の指導を受けながら薬膳理論に基づき町内産品の分類を行った。「すると皆からどんどんアイデアが出てきたんです。その中で、理論を生かしつつ地域の旬を使った料理にしようという方向になりました」。高め合ってきた伝統食の技に加え、メンバーの多くは野菜の旬を知り抜いた生産者。それが「ふるさと薬膳」という、今までにない郷土料理に結びついた。
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店内には座敷スペースもあり、会合や法事などに利用される
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「薬樹五膳」。写真は肝機能に不安のある人向けの薬膳「桐」
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野草の天ぷら。サクサクとしてクセはなく、美味!
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短角牛のたたきには、旬の野菜や漢方食材を合わせた特製ダレを
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看板メニューの「薬樹五膳」は、肝機能や胃腸、心臓など体の諸症状に対し効能を発揮する食材を組み合わせた5種の症状別薬膳。岩泉の郷土食をベースに、旬の食材をふんだんに使っている。その品数の多さもさることながら、驚くのは食材の多様さだ。この日の天ぷらには、なんとスギナやドクダミなどの野草が並んでいた。「自然の中で生きている野草はすごく体にいい」と昆さんは教えてくれたが、たとえ効能を知らずとも、これが実に美味しいことにまた驚く。ほかにも短角牛や幻の食材といわれる岩茸など、地域の恵みが大集結。しかも薬膳には使用した食材とその効用を細かく記した「お品書き」を付け、きちんと説明することも実践している。素材の美味しさと健康パワーを五感で味わってほしいという思いからだ。
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旬の野菜の炊き合わせ。料理店のように美しくていねいな仕上がり
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独自のスパイスで野菜と短角牛を4日間煮込んだ「薬膳カレー」も美味
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そんな食材の魅力を引き出すため、調理にも手を抜かない。出汁には天然素材のみを使用するのはもちろん、料理の分量や味付け、盛りつけに至るまで厳密に定め、作る人により変わらないよう厨房長が日々チェックするという徹底ぶり。全員が家庭料理の達人ではあるが、決してプロの料理人ではないというのに、である。「確かにここまで来るのは大変でしたけど、やはりお客さんのことを第一に考えてしまうので」と昆さん。体の中から元気が湧いてくるような縁樹の薬膳には、「みんなに健康になって欲しい」と願うメンバーの気持ちもたっぷりと込められているのだ。
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平日は3名、土日祝日は4名で調理を行っている
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野菜はメンバーから調達し、米や肉も町内産。手間ひまをかけて仕込む
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いわて地産地消レストランの認定証。奥は中国薬膳理論の五行配当表
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果物や山の果実の焼酎漬け。食前酒ほか調味料にも利用
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郷土食の講習会から始まった活動も今年で10年目。今ではレストランの運営はもとより、行政などと協力して岩泉の食を発信する活動にも取り組むなど、活動の場も大きく広がっている。だが厨房で立ち働くメンバーには気構えなどはなく、なにより元気で楽しそう。仕事へのやりがい、そして何でも言いあえる仲間の存在が、継続していく原動力なのだと感じた。
レストランの営業時間は11時〜15時。冬期間、そして10人以上の利用は事前に連絡のこと。
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昼食を取りながら打ち合わせ。どんな事でも話し合う
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写真手前左より、田代久枝さん、赤平ヨウ子さん、昆東子さん、三田地牧子さん、岩城康子さん、早川ケン子さん。後ろ左より、三田地キヨさん、武田富子さん、佐々木エミさん、文川スズ子さん
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