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一関市東山町では、小麦粉をこねて作った生地のことを昔から「はっと」と呼ぶ。なかでも伸したはっとを細長く切って茹でる「きりばっと」は、温かいつゆをかけたりざるそば風にしたり、小豆ぜんざいにも入れて食べられている。
「でも最近は、家で作る人はあまりいなくなって。だからみんな懐かしがって食べていきます」。
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オープンは平成6年、旬の野菜が豊富な「協同組合産直センターひがしやま 季節館」
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4テーブル、16人掛けのこじんまりした「季節館食堂」
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湯気の立つ大鍋の前で話すのは「季節館食堂」代表の那須佳子さん。見守る鍋の中には、さっき切ったばかりのはっとがぐらぐらと踊っている。JR大船渡線柴宿駅からほど近い「協同組合産直センターひがしやま・季節館」の一角にあるここは、今や地域内でも珍しくなりつつある郷土食「はっと」が気軽に食べられると評判の一軒である。
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足で踏んで一晩ねかせたはっと生地はコシの強さが持ち味
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茹でたのち冷水でしめることでさらにモチモチに
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食堂を運営するのは、平成9年にきりばっとで「食の匠」認定を受けた加工グループ「手づくり伝承の会」内の有志8人。「伝統の味を食べてもらう場を」と産直の加工施設移転にともなって空いたスペースを改装し、平成19年2月にオープンさせた。「最初の頃は、挨拶もメニュー取りも『誰が行く?』という具合。段取りをつかむまで大変でしたが、みんなお客様と話すのは好きなので」と那須さん。初めて訪れたのに居心地がよいのは、そんなメンバーの笑顔と朗らかさゆえだ。
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惣菜や菓子類など加工品の多さも「季節館」の人気の秘密
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産直内には食堂の惣菜コーナーもある
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温かな雰囲気に加え、家庭的な味わいも魅力。メニューには「きりばっと」やすいとん風の「はっと汁」、おやつ感覚の「あずきばっと」のほかおにぎりやカレーライスなど馴染み深い軽食が並ぶ。また産直に並ぶ惣菜もメンバーの手作りで、この日は「伝承の会」会長の佐藤とし子さん、高金成子さんらも厨房に。産直に並ぶ野菜などを使い、各自で工夫して作るため献立はその日次第だが、旬の野菜を生かした惣菜はどれも優しい“おふくろの味”。「傷があったり見た目が悪くても野菜の美味しさは変わらない。勿体ないからどんどん使うようにしています」と那須さんは言う。生産者でもあるからこそ、食べ物を大事にする思いはいっそう強い。
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出来立てからパック詰めにして店頭に並べる
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旬の大根を使った煮物。懐かしい家庭の味
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「さあどうぞ」。那須さんにすすめられ、出来立てのきりばっとを味わった。はっとの力強いコシと小麦の香りがしょうゆの出汁に溢れ出し、しみじみと美味しい。具はあえて少なめにし、はっとそのものの味を楽しむのが季節館食堂のスタイル。だから何度でも食べたくなるのである。
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柔らかくてほどよい甘さが人気の「あずきばっと」。小豆ももちろん自家製
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シンプルな具材でうまさが引き立つ「きりばっと」
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ちぎったはっとと野菜を煮込んだ「はっと汁」も格別な味わい
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出来立てのおから。作る人によって味が違うのも楽しい
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オープンから1年あまり経ち、農繁期の当番のやりくりなどまだ試行錯誤の部分もあるが「色々な人と知り合いになれたのは食堂のお陰」と那須さんは微笑む。そんな出会いと情報交換の場としての期待も大きく、産直組合副理事の那須元一さんは「ここでしか食べられないメニューも作ってほしい」と話す。「だからもっと勉強をしていかなくちゃ」。口々に話すメンバーもみな笑顔だった。
季節館食堂の営業は11時から14時まで。火曜日定休。
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食堂内には「食の匠」の盾が飾られている
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写真左より、高金成子さん、那須佳子さん、菅原ヤス子さん、佐藤とし子さん、佐藤洋子さん
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