|
金曜日の午後1時。それまで静かだったJAみやこ山田支店脇の広場へ次々に車が入ってきた。
車の荷台から現れたのは、色とりどりの農産物。ねぎや大根、白菜など季節の野菜から色鮮やかな切り花も次々と降ろされ、広場のパイプハウスに並べられていく。気がつくと、あたりには多くの買い物客まで集まってきている。「毎回、メンバーの品出しが終わる前からお客さんが来るの。これでも今日は少ない方ですけどね」。品数の豊富さと値段の安さで、開催日はいつも開店前から人が並ぶ青空産直「夕市の会」、その会長をつとめる松崎美代子さんが話す。
|

メンバーの車には自慢の農産物がいっぱい
|

テキパキと荷下ろし。メンバーの家族も手伝う
|
会のスタートは、平成16年に松崎さんら山田町の女性農協組合員が始めた産直活動。当初は月に1回、農協からテントを借りての市だったが、平成18年1月には30人の仲間で「夕市の会」を結成。同年9月にはメンバーで出し合った資金をもとに常設のパイプハウスを完成させ、開催も毎週火曜と金曜に増えた。「作って売れることにみんな自信がついたから」と松崎さんは話す。
産直を始めてからからずっと、松崎さんたちは月に1度の夜、地域の生活改善センターで農業普及員を講師に勉強会を開いている。「お客様に買ってもらうのだから、野菜の作り方から肥料の使い方などをきちんと勉強をしたかった。少しでも荒れ地を耕して、収入につないでいければという思いもあります」と松崎さん。勉強会の後には料理講習会も行っているが「みんなで食べるのも楽しくて」とも。食事をしながらの会話が、仲間の結束にも一役買っているという。
|

開始の13時30分前からお客がやってくる
|

あっという間に人だかり。元気な声が響く
|
13時30分を過ぎると、広場はいよいよ活気を帯びてきた。「あらいらっしゃい! 今日は何が欲しいの?」「これは今朝とってきたなめこ。新鮮だよ」「はい、おつり。毎度ありがとうございま〜す!」「これは福耳ナンバン。生で食べるとシャキシャキしておいしいよ」。パイプハウスの下で交わされるにぎやかな売り買いの声。テキパキとした接客とていねいな商品説明は、まさに勉強のたまものだ。「ここの野菜はやっぱり鮮度が違うんだよね」。常連客も太鼓判を押す。
|

黒ネギや大根の旬野菜がずらり。
この安さもうれしい
|

野菜のほかきのこ類も登場。
海の町らしく海産物も出る
|
|

きのこの王様・まつたけもお買い得!
次々に売れていた
|

切り花の鮮やかな色は丹誠込めて育てたあかし
|
なにより印象的なのはメンバーの笑顔だ。「お客様とおしゃべりをするのが何よりの楽しみ」と話す松崎さんだが3年前に母親を亡くし、その悲しみに落ち込んでいた時期があったという。「ここに来れば元気がもらえる。だから出てこない人にも『みんなで待ってるからいつでも出て来なよ』って声をかけています。みんなで受け止めて支え合う、それが私たちの会」。かけがえのない仲間の存在が笑顔と自信の源となり、一人一人の自立にも繋がった。「みんなが元気な山田を作りたい」というのが、松崎さんたちの一番の願いなのだ。
|

モットーは「多品目」。
各自が様々な栽培に取り組んでいる
|

生産者が売るからこその安心感。
交わす会話も楽しみのひとつ
|
|

買い物客の多くは歩いてやってくる。
地元の人々に親しまれる市だ
|

「はいチョコ」。
忙しい接客の間にもメンバーへの思いやり
|
昨年までは年末で一旦終了していた市も、常設のパイプハウスができた今年からは通年営業になる予定。「これからもお互いの力を合わせて頑張っていきますよ」と、松崎さんが微笑んだ。
|

パイプハウスの屋根はロールアップ式。
メンバーの工夫とこだわりの成果
|

メンバーは30代〜70代と幅広い。
ともに頑張ってきた、たいせつな仲間
|
|