平成18年11月 陸前高田市 「広田にんじんクラブ」 インデックスページへ戻る
陸前高田市「広田にんじんクラブ」
「広田にんじんクラブ」代表の村上豊子さんにお話を伺いました。

村上豊子さん

 しとしとと降る雨が、畑の緑をよりいっそう輝かせている。季節は晩秋。なのにこの色鮮やかさ、みずみずしさ。
「おー、大っきくなったなあ」。畑を見回すメンバーからも歓声がおこる。どれ、と引き抜いた青葉の先には…見事なばかりのにんじん!「柔らかくて色がよく、甘い。うちのにんじんの評判はとてもいいんですよ」。にっこりと、「広田にんじんクラブ」代表、村上豊子さんが微笑んだ。


メンバーの遊休農地を活用したクラブの畑は地区内に3か所ある


見事な生育は土づくりの賜物。有機たい肥やカキの殻などをすき込む


にんじんは夏に蒔いて秋に収穫。春〜夏はジャガイモ植え付けや秋植えのタマネギを収穫


毎週金曜がクラブの作業日。この日は8人が参加

 海のイメージが強い陸前高田市広田町だが、少し内陸に入ると山峡に農地が広がっている。村上さんたち「広田にんじんクラブ」の12人が、約20アールの遊休農地でにんじんなどの野菜を栽培し始めたのは平成13年から。きっかけは、村上さんが保育士だった20年ほど前から抱いていた危惧、そして農業委員となって目の当たりにした地域農業の現状だった。


にんじんは丁寧に洗う。1回につき30〜50kgの収穫がある


クラブのにんじんは「味が全然違う」と各所で大評判。収量アップが期待されている

「当時から子どもたちの食の細さ、食への意欲のなさが気になっていましたし、近年には地区の主要産物だったスイセン栽培も衰退。なにかいいものはないか…いろいろと試行錯誤しました」。
 考え抜いた末にひらめいたのが、遊休農地を利用して栽培した野菜を給食用に提供すること。周囲の人々に声をかけて集まったのが現在のメンバーだ。にんじんを選んだのは「どんな料理にも使われる、いわば『料理の花』だから」。活動はその後ジャガイモ、タマネギ栽培などへも拡大し、現在は給食センターほか市の老人ホーム、保育園へも提供するまでになっている。


メンバーの村上妙子さんの作業場が休憩所に


寒かったこの日はだるまストーブの上に焼き芋が。作業の合間のおやつだ

 クラブのこだわりは食材への安心安全だ。土づくりに使うのは有機たい肥が中心で、除草剤も使わない。その上で「活動がみんなの負担にならないように」と、作業日数によって売上金を配当する仕組みも作っている。だがメンバーは「何よりみんな集まって一緒に働くのが楽しいから」と、とてもおおらか。また各人の家族もクラブに積極的に関わっている。


村上さんの愛猫ハナコ。クラブのアイドル(?)だ


にんじんの種まきを行う園児たち

 取り組みは野菜の供給だけではない。クラブでは広田保育園の園児を畑に招いて農業体験も行なっている。「人は自然から食べるもの、そして生きる手段も学びます。子どもたちにそんな機会も与えたかった」と村上さん。体験は植え付けや収穫など年数回で、収穫物はその場で調理してみんなで食べ、泥付きの野菜はお土産にもなる。「農園に行く日は園児も楽しそう。健康と食育の面からもいいですね」と、広田保育園園長の村上ミエコさん、栄養士の菅野美加さんもクラブの活動に期待し、応援している。


7月にはジャガイモの収穫体験も。みんな泥んこだ


広田保育園園長の村上ミエコ先生。村上さんとは長年のつきあい

 今年10月、クラブは「県食育推進ネットワーク会議」の食育優良活動表彰で優秀賞を受賞した。積極的な食育の推進活動が認められての結果に「さらにやる気マンマンになったよ」「今度は何をやろうか?」と、茶目っ気溢れる言葉がメンバーから飛び出す。みんな、いい顔だ。
「これが限界と思っても『がんぱっぺな』と言ってくれる。この仲間に支えられて、これまでやってきました」。
 しみじみと話す村上さんの言葉が、こちらの気持ちも温かくしてくれた。


保育園では「歩け歩け運動」などユニークな活動が多い。栄養士の菅野美加先生は食育にも意欲的


手前左より、村上豊子さん、伊藤俊雄さん。後ろ左より、藤田ミキ子さん、砂田きよ子さん、村上妙子さん、菅野より子さん、菅野照美さん、佐々木イチさん。会員12人のうち2人は男性

 

「広田にんじんクラブ」の場所と連絡先(JA陸前高田市)

住所:岩手県陸前高田市広田町字大久保135-1
TEL:0192-56-2011

案内図
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