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霜畑集落のほぼ中央に立つ「そばの匠館」
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岩脇さんと前代表の七ツ役トミさん。2人を中心に集落の女性が頑張っている
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昼12時。霜畑地区成谷にある「そばの匠館」から、笑い声が響いてくる。
今日のお客さんは久慈市内から訪れた9人。囲むテーブルには旬を迎えたフキノトウの天ぷらやウルイのお浸し、手作り豆腐と野菜の煮物など。その横には湯気がたつ名物汁の「まめぶ」と、さっき打ったばかりの田舎そばもある。ずらり並んだ山里の味を前に弾む会話、こぼれる笑顔。
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春には地元産の山菜や川魚の料理が楽しめる
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調理の手際のよさは長年の活動のたまもの
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ゴボウやかんぴょう、凍み豆腐やしいたけなどを煮込むのが成谷流「まめぶ」
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団子はまん丸。クルミの食感と黒砂糖が、醤油汁に不思議と合う
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「私たちが昔から食べてきたものが『美味しい』と喜ばれる。こんな嬉しいことはありません」。厨房と広間を行き来する岩脇ヨシエさんも微笑む。代表を務める「成谷自然食の会」は結成から12年。ここ「そばの匠館」を拠点に郷土食の提供やそば打ち体験を催し、霜畑の食文化を発信してきた。
地域の農業は昭和55年の大冷害を機に大きく転換した。導入されたほうれんそうは女性や高齢者にも活躍の場を与え、変わりに古くから営まれてきたそばの作付けは減少。「作っても庭先で安くで買い叩かれてしまっていたから」と岩脇さんは話す。失われつつあるふるさとの味と誇りを守ろうと、そば打ちの大ベテラン、七ツ役トミさんを中心に5人の農家女性が集まった。
最初に取り組んだのは年越しそば作り。これが評判を呼び、平成7年に地域の郵便局と提携したゆうパックが登場するや各地から注文が舞い込んだ。そして平成9年に「そばの匠館」が、昨年暮れには炉端焼きが体験出来る工房も完成。「予想以上の反響でここまで来ました」と岩脇さんは振り返る。
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その時期に地元で採れた食材を使った料理
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手打ちそばとまめぶがセットになった「ゆうパック」。季節の野菜も添えられる
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昼食後、広間では岩脇さんを講師にそば打ち体験が始まった。石臼挽きのそば粉に入れるのは卵と豆腐。工夫の末に編み出したつなぎで柔らかさとコシが生まれ、栄養価も高いそばが出来上がる。のし棒に巻き付けてドンドンと打ち付けるのはベテランの技。このそばといい、醤油味の汁の中にクルミと黒砂糖入りの団子が浮かぶまめぶといい、他所では見かけることのない独特の郷土料理だ。しかもまめぶに至っては旧山形村内の8地域で具材や味がそれぞれ違うという。受け継がれてきた食文化の深さ、豊かさを感じる。
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そばは食べる分だけ挽く。だから美味しい
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地元産の豆腐を地元産100%のそば粉に混ぜる
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のした木地を台に叩き付けて伸ばす熟練の技
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参加者全員でそばのこねからのし、切りまでを体験
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初めての体験に歓声と笑い声が絶えない
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平成8年には県知事が認定する「食の匠」に選ばれた
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同会では東京の消費者団体との定期交流はじめ、県内外でのそば打ち教室や郷土料理の販売へも積極的に出かける。また地元霜畑の小中学校で伝承活動も行っている。「忙しい時は集落の人も手伝いに来る。特に12月は年越しそば作りにおばあちゃんたちが大活躍します」と岩脇さん。食を守る5人の地道な活動は集落全体の結束力を深め、活力を生み出す元ともなった。
「色々な人と交流ができ、地域もよくなっていく。自分がしたかった仕事はこれだったと今改めて思っています」。そう言って岩脇さんは微笑んだ。
「そばの匠館」での食事、そば打ち体験とも事前に予約が必要。
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