平成22年6月 奥州市立岩谷堂小学校
果報だんごは幸せの美味しいシンボル
当たりだんごは宝探し気分。
「2個入ってたよ!」
江刺区内2つの産直から届く農産物
野菜類の下処理が終わり、調理場の一画で始まっただんご作り。水煮大豆をひと粒包んで丸め…と手際は見事だが、作る数は約600個!「今日は久々の果報だんご汁なので、“当たり”だけは手づくりなんです」。奥州市立江刺学校給食センター栄養職員、小布施有紀さんが献立の説明をしてくれる。「果報だんご」は萩の小枝を包んだだんごを食べれば果報(幸福)が授かると伝わる、岩手県南部の伝統的な行事食。江刺区内の小中学校合わせ約2800食の給食を作る同センターの場合、小枝の代わりに大豆を包んだ「当たり」だんごが全クラスへ平均5~7個届くためには600個ほど必要になるという。食数が多いにも関わらず、じつに手間ひまかけた調理である。
水煮大豆は「江刺ふるさと市場」のもの
600個のだんご作りは4人がかりでも大変
調理員さんは15人。小中学生の子を持つお母さんもいる
気候と自然に恵まれた奥州市江刺区は、江刺りんごや江刺牛など食材の豊富な地域。センターでも地場産品を積極的に使っており、週4回の米飯は金札米(江刺産ひとめぼれ)、月1回は奥州市産米粉100パーセントのパンが登場する。もちろん野菜も多くが江刺区内にある2カ所の産直施設からの納品で、「旬のものは最優先で使うようにしています」と小布施さん。同じく栄養職員の小野寺敬子さんと協力し、子どもたちに旬の味や郷土の恵みを伝えている。
江刺の食を大事にする、学校栄養職員の小布施有紀さん(左)と小野寺敬子さん
岩谷堂小の3年1組を訪問。
みんな元気です
岩谷堂小は縦割り班活動を行っており、全学年が仲良し
この日の献立は、古代米ごはん、果報だんご汁、ぶりの照り焼き、切り干し大根のサラダ、デザートにりんご。
センターでは農産物のみならず豆腐や梅干しも江刺産を使用。味噌は「農産工房ひろせ」の商品で、みそ汁がおいしいと評判だ。さらに小布施さんらは食の匠から郷土料理を学び、地元調理員に江刺の味を聞くことも。美味しい給食は、素材と技に人の知恵が加わって出来ている。
音楽教育もさかん。歌声も聞きたかったなあ
当たりだんごの人は?「はーい!」8人の手が挙がった
シャキシャキのエノキタケと大人気の「奥州味噌」
岩谷堂小学校は生きる力を育む「食」に注目し、授業や学校行事などを利用してさまざまな食育指導を行っている。全学年で行うなかよし給食会ほか、4年生はJA江刺の協力のもと米づくりを体験するのが恒例だ。また学校通信「食育だより」やPTA活動を通じ、保護者の理解と啓蒙にも取り組んでいる。多彩な体験で食べ物のことを理解している子どもたちは、古代米入りのごはんも「おいしい!」とパクパク。当たり付きの果報だんご汁は大好評で「当たったよっ!」「僕も!」と教室の中は大さわぎに。果報の大豆を手に「今年はいい年になりそう」と、笑顔が広がった。
味噌の要の麹も広瀬産の米を使用。
大事に育てる
味噌作り担当の菊池明美さん(左)
と菊池恵美子さん
旬の野菜と加工品が評判の
「農産工房ひろせ」
ひろせの元気なメンバー。
左から、江川純一さん、菊池光子さん、関村武久さん、菊池明美さん
江刺区広瀬にある「農産工房ひろせ」は、地区内にりんご団地やエノキタケ生産団体がある特徴を活かし、冬場も農産物が豊富に並ぶ。学校給食担当の江川純一さんは「畑を見ながら旬の野菜を出してます」と、日々の納品を取りまとめる。この時期は白菜やエノキタケが多いが、ひろせといったらやはり味噌。広瀬産の大豆と米だけで仕込んだ「奥州味噌」は、昨年は早々に完売するほどの人気ぶり。甘みと深い旨味は、麹の吟味とていねいな仕込みのたまものだ。会員には小中学生の孫を持つ人も多く、店長の関村武久さんは「子供たちのためにもいいものを納品しなくては」とにっこり。畑、調理室、そして学校。江刺の美味しい給食を支える人々の思いはひとつだ。
家庭でも作ってみよう!

| 今回の材料(約4人分) | |
|---|---|
【果報だんご汁】
【切り干し大根のサラダ】
|
【作り方】果報だんご汁
切り干し大根のサラダ
|
