稲作に野菜、果樹生産など、多彩な農業が行われている奥州市前沢区。なかでも畜産は肥育に適した条件がととのっていることもあり、前沢牛に代表される高品質の牛肉を全国に送り出している。そんな前沢の恵みを子供たちに伝えようと、前沢学校給食センターでは地域の生産者組合から食材を調達。年4回の「奥州っ子給食」はもちろん、普段から地場産品を利用している。

味が濃くておいしいと評判の前沢産りんご |

前沢区内8校、1250食分の給食を作る |
この日のメイン献立は、子供たちの大好きな牛丼。牛肉に加えご飯にも前沢産ひとめぼれを使用しており、「100%地産地消給食です」とセンターの学校栄養職員、及川亜希子さんは微笑む。牛丼がしっかりした味付けのぶん、副菜のささかまチーズ焼きと野菜のゆかり和えはさっぱりとやさしい味にし、デザートは前沢産りんご。栄養バランスの良さとさまざまな味を楽しむ工夫も光る献立を可能にしているのは、センターと食材を納入する給食食材生産組合の連携のたまものだ。
「今の時期はこういうものが取れる。」など、作物の提案を頂くこともしばしば。そんな情報を取り入れて“旬”を感じる献立を作っています」と及川さん。特産のりんごはじめ各種野菜、使用量の多いタマネギやニンジンなども旬の時期には地場産でまかなうことができるという。「牛肉に限らず、前沢は野菜の種類が豊富なことも伝えていきたい」。それが及川さんの願いでもある。

奥州市では週4回が米飯給食。前沢区ではセンター炊飯 |

前沢の味を作るのは
10人の調理士さん |

「前沢は生産者との距離が近いです」と学校栄養職員の及川亜希子さん |
上野原小学校があるのは前沢区の西部、山間部の農村地帯。地域のつながりが強く、学校では地区の大人を講師に環境や歴史を学ぶ「上野原学習」を開いている。またお年寄りなどによる見守り隊も結成され、学校農園の管理や行事での交流もさかん。手製のお菓子で来校者をもてなすことも多いという校長の高田長子先生も「食を通して心がつながっているのが上野原の素晴らしさ」と話す。及川さんが訪れた低学年のクラスでは、前沢の食材の紹介に「うちでも野菜作ってるよ!」「うちは牧場なの!」と、教室のあちこちから元気な声と手があがった。センター特製の汁物風牛丼も大好評で、「いつもよりずっと速い」と先生も驚くほどの旺盛な食欲ぶり。野菜がたっぷりの副菜もりんごも、みんなあっという間にたいらげた。

教室を訪れた及川さん。
「前沢の恵みに感謝して食べましょう!」 |

大好きな牛丼の登場。
「おいしい!」ともりもり |

学校農園や収穫祭を通して食を学んでいる上野原小の子供たち |

上野原地区は三世代同居が多く、
和食にも親しんでいる |

「ごちそうさま!」
ほら、ご飯も残さずに食べました |
生産組合からの給食納品は平成9年から始まり、じょじょに品目を増やしてきた。中でも長期に渡り納品されているりんごは、組合長の石田安志さん、鈴木春男さん、石田節子さん、石田みえ子さん、鈴木ふじ子さんの5人が担当。「前沢は水害の常襲地帯で土が肥えているから、低肥料でもいいものができる」と鈴木春男さんはいうが、それも細やかな管理あればこそ。春のせんていから受粉、摘果など、収穫の9月まで休みない作業が続けられる。出来たりんごも「給食には完熟でおいしいものを出しています」と石田節子さん。手間を惜しまずに作物を育てる工夫と努力は、石田さんらりんご生産者はもちろん組合員14人全員が取り組んでいること。前沢の一番の恵みは、「子どもたちに地域のおいしいものを」と願うたくさんの人々の存在である。

左から、石田節子さん、石田みえ子さん、鈴木ふじ子さん、石田安志さん、鈴木春男さん |

りんごは樹齢40年から3年程度。さまざまな品種がある |

生産組合のみなさん。「子供たちの『おいしい』という声が励みです」 |
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