北上川中流域に広がる紫波町は県下有数の米どころ。さらに奥羽山脈に接する西部地域では野菜や畜産が、北上山地をのぞむ東部地域はリンゴやブドウなどの果樹栽培が行われている。
そんな豊富な地場産物を利用して作られている紫波町の給食は、町内14の小中学校を合わせて約3500食。この食数で米はほぼ100%が町内産でまかなわれ、野菜や果物も重量ベースでおよそ3割(平成19年度)にも達しているという。「米に野菜に果物。これだけ揃う地域は県内でもあまりないでしょう」。紫波町学校給食センターの阿部栄一所長も胸を張る地産地消の給食は、50人の組合員で組織された「紫波町学校給食食材生産供給組合」から届けられる農産物で支えられている。センターを訪れたこの日の朝は、ちょうど長岡果樹生産組合の山口貢さんが荷下ろしの真っ最中。納品口には、鮮やかな黄色の王林の甘い香りが漂っていた。

この日センターに届いたのは885個の王林 |

9月から翌年3月までさまざまなリンゴが届けられる |

長岡果樹生産組合の山口貢さん |
この日の献立は、ご飯、山菜ひっつみ、納豆、すきこんぶの煮物、りんご。
献立を作る主任学校栄養職員の長岡智子さんが大事にしているのは食事の組み合わせ。「好きな物や食べたい物だけでは食事がバラバラになってしまう」と、基本となる和食はもちろん、中華や洋食でも主食・主菜・副菜・汁物のバランスを意識している。また「恵まれた地場産を生かすことは地域の農業振興にも繋がるから」と週に3回以上は地場の果物をデザートに使い、山菜など季節限定の恵みが届けば当日でも献立を工夫して使う。ちなみにこの日の納豆は、紫波第二中学校の生徒たちが栽培から収穫までを手がけた大豆を加工した、町特産の「紫あ波せ(しあわせ)納豆」。子どもたちが地域の食へ積極的に関わっていく取り組みも行われている。

左は紫波二中の生徒が栽培、右は「ゆいっこの里犬草」の大豆を使った納豆 |

りんごは4つ割にカット。秋にはぶどうも登場する |

ひっつみなど汁を吸う献立は汁の量を多めに調理 |

主任学校栄養職員の長岡智子さん(左)と、
学校栄養職員の西舘礼恵さん |

3500食の調理を行う、ベテラン調理員のみなさん |
昨年から、紫波町学校給食センターでは就学を控えた子供たちを対象に試食会を開いている。この日訪れたのは、紫波中央保育所の園児たち。みんな完全給食を食べるのは初めてだ。「今日の野菜は近くの農家の人が丹精こめて作ったもの。大事に食べてくださいね」との阿部所長のお話に少し緊張の面持ちながら、テーブルに並んだ給食に興味津々。具沢山のひっつみ汁にも納豆にも「大好きー!」とあちこちから声が上がる。その元気な様子に、長岡さんも「おかわりは自由ですよ」とにっこり。みんなでにぎやかに初めての学校給食を味わった。

「納豆は好き!」ごはんにかける仕草も慣れたもの |

紫波二中の先輩が作った納豆を「いただきま〜す!」 |

ご飯は町内産の特別栽培米ひとめぼれ。やっぱり美味しい |
4月からはじまる小学校生活には、勉強に友だちづくりにとさまざまな楽しみが待っている。そのひとつに、きっと「給食」も加わったことだろう。

初めての完全給食。残さないで食べられたかな? |

園長先生と一緒にぱくぱく。「4月からの学校給食が楽しみ!」 |
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