容器の蓋を開けた途端、いい香りとともに現れた丸いパン。新鮮な夏野菜と一緒に本日の洋野町の小学校給食の主役となるこれは、町内の工房で焼かれた雑穀入りのパンである。「雑穀パンの採用は今月が初めて。先週実施した中学校では、ふわっとして美味しいと好評でした」。洋野町大野学校給食センターの栄養教諭、嵯峨潤子さんが話す。大野地区では平成20年度から毎月1回の「大野っ子学校給食の日」を定め、本格的な地産地消給食が始まっている。

小中学校合わせて680食ほか、大野高校の副食も調理 |

味付けのほか年齢に合わせた栄養バランスにも配慮 |

大野木工と小久慈焼の食器も使われている |
乳製品やほうれんそう、しいたけなど特産品も多い大野地区だが、これまでは学校給食への地場野菜の使用率は久慈地域の中でも低かった。八戸市と境を接する同町では、価格や安定供給などの面から青森県産農産物を利用することが多かったからだが、昨年から町内産品の利用率アップを目標に関係団体が協議。今後は産直「ゆうきセンター」の野菜をはじめ町内産のパン、そして豆腐などの食品も登場する予定という。嵯峨さんも年間12回の地産地消給食献立作成や生産者との意見交換会、研修などにも参加。「毎日が『大野っ子学校給食の日』になるようにしたい」と、情報交換に努めながら頑張っている。その成果は確実に現れてきているようだ。

食品の色分け、献立作りのポイントをみんなで学習 |

「この献立はどうですか?」積極的に質問する児童も |

低学年はランチルームで一緒に給食タイム |
この日の献立は、雑穀パン、ミネストローネ、チキンピカタ、大根とわかめのサラダ、デザートのフローズン洋梨。
揚げ物や焼き物など調理法を変えた日替わりの主菜に、汁物を組み合わせる嵯峨さん。人気のチキンピカタに合わせたミネストローネは、生トマトの酸味をほどよく生かしつつ野菜やベーコン、マカロニなど具沢山のスープ仕立て。ほか米飯給食の日には、けの汁やいちご煮、すき昆布の煮物などの郷土料理も登場し、また特産の大野木工や小久慈焼の食器で食べる日もあるとか。料理のみならず食器まで地場産というのは、大野地区だからこそ出来る取り組みといえる。

今日は給食のことをきちんと勉強。残さず食べなくちゃ! |

「大野らしい給食を作っていきたい」と栄養教諭の嵯峨潤子さん |

調理員さん。手前左より、奥寺雅子さん、野田美穂子さん、續石キヨ子さん。2列目左より、浜川弘子さん、萬谷美智子さん、堀岡キミさん。後ろ左より、工藤ことみさん、川端なみ子さん |
向田小学校では、「バランスのよい食事の取り方を知ろう」というテーマで、6年生が嵯峨さんの授業を受けた。嵯峨さんが黒板に並べたメニューを元に、全員が主食・主菜・汁物の組み合わせで献立を考え、みんなでバランスをチェック。「献立は難しいなぁ」「家でも考えて作ってみたい」など様々な感想が飛び出し、食事について考えるいい機会になったようだ。続く給食タイムには、雑穀パンを作った「おおのパン工房」の秋山陽子さんが駆けつけ材料の小麦や雑穀について説明した。嵯峨さんや秋山さんと一緒に食べた分、きっと大野の人の恵みも感じられたことだろう。

水沢地区の旧校舎を利用した「おおのパン工房」の店舗と工房 |

ほうれんそうなど特産品を使ったパンを試作中。完成が楽しみ |

食事パンほか菓子パンも豊富。焼きたての美味しさは格別! |

左から、秋山陽子さん、小路合みさ子さん、中村和子さん、橋場裕子さん |
秋山さんら水沢地域パン等加工組合が作る「おおの手づくりパン」は、地元のひえ・あわ・いなきびが入った天然酵母パン。雑穀の風味を生かし、卵や牛乳を使わずに仕上げたヘルシーな味わいは、遠方からわざわざ買いに訪れる人も多い。今回の給食用パンは南部小麦などを使った特別ブレンドで、「水の配合などに気を使った」とか。通常の販売用に加え、小学校430食分の給食用パンを焼き上げるのは大変だが「子どもたちに地元のパンを食べてもらえることが何よりうれしい」と秋山さん。今年始まったばかりの「大野っ子学校給食の日」だが、嵯峨さんと地域の人たちの協力で、もっともっと大野の恵みを感じる献立になっていきそうで楽しみだ。
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