花巻市東和町は周りをなだらかな山々に囲まれ、猿ヶ石川はじめ湧き水などにも恵まれた地。豊かな水は昔から稲作やりんご、野菜などの栽培に利用され、また成島和紙など独自の伝統産業も生み出した。そんな同町では、古事記に登場する水清く豊かな文化あふれる理想郷・まほろばにちなみ、「まほろばの郷」がさまざまな分野でキャッチフレーズとして使われている。

東和学校給食センターでは下処理後にミーティングを行う |

精米具合を見ながら炊き上げたご飯 |

坂本さんと調理士さんで味付けもきちんと確認 |
東和学校給食センターでも毎月1回、地場産食材を使った献立の日を「まほろば給食」と名付けて実施している。当日は花巻管内産のあわ・ひえ・きびの雑穀と町産ひとめぼれを炊き合わせた「まほろばごはん」に加え、おかずにも町内産食材をたっぷり使用。特に野菜は地域の「産直あおぞら」から供給を受けており、平成18年度だけでも町内産野菜は約70%と花巻管内トップクラスの使用率だ。「出荷数と食数のバランスがちょうど良く、町や生産者のみなさんが給食に積極的に関わってくれるからです」と、主任学校栄養職員の坂本マサ子さんは胸を張る。

学校行事で使用されるランチルームでの給食試食会 |

お父さんと一緒の給食。
「いっぱい食べろよ!」 |

お母さんと食べるから楽しいし美味しい |
この日の献立は、まろほばごはんに味海苔、豆腐の味噌汁、鮭の塩焼き、山菜の炒め煮。
「和食を中心に、地場野菜を取り入れた東和らしい給食」が、坂本さんの献立作りの基本。ご飯にはセンター炊飯の利点を生かして雑穀を多めに使用している。味噌汁に入ったたまねぎは朝採りの地場産、炒め煮のわらびとフキも地域で収穫・水煮加工されたものだ。また地元醸造会社の味噌と醤油も東和らしい味付けには欠かせない。とはいえ和食以外の献立もバラエティ豊かで、センターの調理員が献立を考える「調理員献立」や、食感を意識したおかずが登場する「カミカミメニュー」など、洋食や中華も取り入れたオリジナリティあふれる給食を提供している。

「この料理、いいかも」。お母さん同士も情報交換 |

栄養職員の坂本マサ子さん。「日々の家庭の味をたいせつにしています」 |

所長の阿部邦彦さん、坂本マサ子さんほかセンターの調理員さん勢揃い |
たまねぎを提供した清水欣一さんは、産直あおぞらの前身となる「東和アグリトピア塾」時代から、消費者へ新鮮な農産物を届けるために頑張ってきた。今は産直の給食担当供給係として出荷の取りまとめに奮闘する。「人が土を作り、土が作物を作るから」と畜産のたい肥を使用した稲作と野菜栽培に取り組み、ハウスの計画的活用で端境期でも野菜きらさない工夫を凝らす。これからはなすやトマトなど夏野菜の出荷の最盛期。畑の管理そして収穫にとますます忙しくなるが「子どもたちに新鮮かつ安全安心なものを食べて欲しい」と、作業に精を出す日々だ。そんな清水さんら東和の生産者たちが手塩にかけた野菜は、産直あおぞらの人気も支えている。

畜産のたい肥を利用して稲作と野菜を栽培している |

ジャガイモは早春からハウスで管理、
端境期の6月に収穫できる |

産直組合の理事も務める清水欣一さん。
安心安全がモットーだ |

68名の組合員で構成される「産直あおぞら」。
東和の美味しいものが揃う |
授業参観が行われた土沢小では、新1年生28人が父兄と一緒に給食を食べた。学校農園がある同校では、1年生ではシイタケの植菌、高学年では餅米の田植えと収穫などさまざまな体験的学習に取り組んでいる。そんな積み重ねがあるからか「みんな給食を楽しみにしています」と佐藤拓美校長先生。坂本さんから給食の話を聞いた父兄からは「食材にすごくこだわっているんだ」と感心する声も聞かれた。お父さんやお母さんとの給食タイムは子どもたちにとって初めてで、ランチルームには元気な声と笑顔がいっぱいに。坂本さんも「これからも美味しい給食を提供していきます」とにっこり。食を通した楽しい時間や体験は、子どもたちはもちろん父兄にとっても地域農産物の理解へと確実に繋がっているようだ。
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