陸中海岸国立公園の南玄関口に位置する陸前高田市は、真冬でも深紅の椿が咲きほころぶ気候温暖なまち。ワカメやウニ、ホタテなどの海産物はもとより、りんごやぶどう、野菜の種類も豊富な食材王国だ。市内の小中学校合わせ18校分、約2400食の給食を作っている陸前高田市学校給食センターでも、そんな地域の恵みをふんだんに使用。「食数が多いので量の確保が大変ですが、JAや市場、そして生産者のみなさんが食材供給に積極的に取り組んでくれるんです」と学校栄養職員の小野寺きみ子さんが話す。この食材に加え年間行事や児童のリクエストにも応えるバラエティ豊かな献立は、「楽しんで食べてほしい」と願う、小野寺さんはじめ畠山夕子さん、舟野未来さんら同センターの3人の栄養職員さんの工夫とアイデアのたまものである。

「機械でむき残した皮はひとつひとつ手でむいていく |

鮭にはじゅうねみそを絡ませてコクと風味をアップ |
この日は、恒例の特別メニュー「岩手食材給食」。献立は、ヒエ入り栗ごはん、ひっつみ、鮭のじゅうねみそ焼き、ヤーコンとわかめの五目あえ、りんごである。
食材は、陸前高田産の米「ひとめぼれ」に特産野菜のヤーコン、白菜、長ネギ、キュウリ、干しシイタケ、リンゴ、塩蔵ワカメ。ほかヒエとナンブコムギ、ニンジン、煮干し、えごま(じゅうね)も岩手県産というこだわり。検収室に持ち込まれる大量の食材に驚くが、洗浄、前処理とテキパキ作業を進める調理員さんの手際にもびっくり。ちょうど見学に来ていた小友小学校の児童たちも、ガラス窓越しに見る調理風景に興味しんしん。さらに屋外では岩手県にまだ3台しかないという給湯用のチップボイラー室も見学し、給食が出来るまでの工夫や手間ひまを実感していたようだ。

畠山さんから給食のお話を聞く小友小学校の子どもたち |

「すごい燃えてる!」。給食センターの佐藤所長とチップボイラーも見学 |

陸前高田市の産物をまとめたポスター |
給食タイムは高田小学校へ。全校集会での寸劇発表や、小豆つまみ大会で箸の持ち方を練習するなどのユニークな活動を通して、食に関する理解を深めているという。この日は5年2組の教室を小野寺さんが訪問。食材の話を聞きながら、みんなでにぎやかに給食を食べた。

小野寺さんからヤーコンの話を聞く高田小の子どもたち |

牛乳パック底には当たりの印の○マーク。やったね! |

給食センターの小野寺さんと一緒にピース。「今日もおいしいよ!」 |

左より、学校栄養職員の小野寺きみ子さん、
舟野未来さん、畠山夕子さん |

美味しい給食を作っているのは24人の調理師さんたち |
村上欣万さんご夫婦は、ヤーコン栽培を始めてもう6年。「手がかからないといわれるけど、肥料をきちんとあげないといいものはできない」と、日々畑に出かけていく。水分が多くて割れやすいというが、土の中から現れたヤーコンはずっしりと重くてきれいなかたちばかり。その収穫作業を見ていた小野寺さんも「こういう地場食材のこと、もっともっと子どもたちにも教えてあげたいと思います」とにっこり。給食に関わるたくさんの人の思いや頑張りも、陸前高田の恵みだった。

ヤーコンはさつまいも型がベスト。1株からおよそ2キロ収穫できる |

年数を経たヤーコンの種株は、翌春の5月にまた定植される |

ヤーコンのほかりんごや野菜も栽培している村上欣万さんと奥様の梅子さん |
|