西には北上山地がそびえ、東は太平洋に面する宮古市。山間部ではしいたけやりんごなどの農産物が栽培され、また岩手県屈指の漁港を擁する海の町でもある。宮古地域の5市町村で年2回開催されている「宮古・下閉伊たっぷり地場食材給食」は、この海と山、ふたつの場の恵みを豊富に使った特別献立の日で、秋は「サンマ」と「しいたけ」が食材テーマ。今回は新里地区の小中学校合わせて305人分の給食を作っている、宮古市新里地区学校給食センターを訪問した。

新里地区でとれた大豆を使った豆腐 |

ほうれんそうは葉の一枚一枚をていねいに洗う |

椎茸に鶏肉の具を合わせるのも一個一個ていねいに |
面積の90パーセント以上を森林が占める新里地区は、昔から野菜や果樹栽培がさかん。センターでは平成14年に地区内に産直が出来たのをきっかけに、長ネギやにんじん、ほうれんそうなど10品目を納入してもらっている。「こんなに豊富に手に入るのはすごいこと。地元野菜は風味も香りもよく、自然の味わいも濃いんです」と絶賛するのは学校栄養職員の山本真紀子さん。18年度は使用する野菜の46パーセントが地元産でまかえたそうで「毎日が産直給食のよう」と微笑む。

秋刀魚のすり身を鍋に落としていく。具だくさんがおいしい |

栄養士の山本さんと一緒に、にぎやかな給食タイム |

産直のみなさんの写真を見て大騒ぎ。知っている人ばかり |
この日の献立は、サンマのすり身汁、しいたけのしんじょ焼き、めかぶの磯あえ、ご飯とりんご。
すり身汁は、宮古産のサンマに新里地区蟇目産の長ねぎやにんじん、豆腐の入った具だくさん汁。肉厚な和井内産の生しいたけに合わせる具には、蟇目産タマネギのみじん切りをたっぷりと。和え物も宮古産のめかぶに蟇目産のきゅうり、ほうれんそうの食感が楽しい。もちろんデザートのりんごも新里産。「新里の子ども達は野菜にもくわしいし、地場のものを食べる時はうれしそう」と話す山本さんは献立表以外にも「ときたま通信」を発行し、地場食材の素晴らしさを伝えている。

蟇目小2年生のみんな。今日の給食も「ごちそうさまでした!」 |

学校栄養職員の山本真紀子さん。「子供の頃から色々な食品を口にさせたいですね」 |

左より、調理師の佐々木久美子さん、中居なお子さん、加賀夕子さん、中村陽子さん |
野菜を納品する「ひきめの里直売所」は、12人の会員で運営される産直。代表の山口京子さんは「できるだけ多く地元の野菜を食べてほしい」と、少量多品目の栽培に取り組んでいる。年間供給は大変なことだが「給食をやるようになって、みんな栽培法が上達してきた」とにっこり。10品目以外にも、まいたけやさくらんぼなど旬の食材が出回る時期は積極的に納入しているという。新里地区の給食の美味しさは、山口さんら勉強熱心な産直の女性12人と、臨機応変な給食づくりに取り組むセンターの山本さんらのチームワークのたまものだ。

「旬の野菜の美味しさを知ってほしい」とひきめの里直売所の山口京子さん |

27アールの共同畑に定植した長ネギも間もなく出荷 |

ブルーベリーは150本。今年の秋に待望の初出荷となった |

新里の農産物と笑顔のメンバーが出迎えてくれる「ひきめの里直売所」 |
62人の児童が通う蟇目小学校。学校の畑でかぼちゃの収穫体験もした2年生7人は、地場産野菜への興味もしんしん。山本さんが持ってきた直売所メンバーの写真には「あっ! 知ってる人だ」「あの人、トシくんのお母さん!」と元気な声が上がる。野菜が苦手な児童が最後の一口をがんばってほうばると、まわりからはパチパチと拍手。「これからも健康にいい野菜を食べて下さいね」との山本さんの言葉に、ハーイ! と大きな返事と笑顔が重なった。
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