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四方を北上高地の山々に囲まれた久慈市山形町は、今も山里の暮らしが息ずく地域。山を利用した短角牛の放牧や炭焼きが営まれ、春には山菜、秋はきのこが各家庭の食卓に登場する。
「そんな地域の味を守っていきたい」と話すのは、山形地区学校給食センターの主任学校栄養職員の大村孝子さん。季節の食材を使った「旬の給食」や「行事給食」など様々なテーマを設けた献立は、子供たちに大好評。ふだんも和食を軸にした献立が多いそうだが「山形地区は三世代同居が多いから、和食や地元食も抵抗なく食べてくれるんですよ」と微笑む。

「まめぶは大好き!」2個一緒にパクリ |

おかわりしようかな?僕の分も残しておいてね! |

地域の食の達人もまめぶ作りに参加 |

小麦団子。集落や家庭により黒砂糖を入れないことも |

5年前に新設された給食センター。約400食分を調理 |

タモギタケは夏に収穫したものを乾燥して通年使用 |
この日の給食は、久慈市との合併一周年を記念した特別メニュー。山形町の伝統的な郷土料理「まめぶ」を中心に、特産のほうれんそうを使ったほうれんそうサラダ、雑穀入りご飯、そして魚のフライ、デザートはオレンジである。
まめぶは、クルミと黒砂糖が入った小麦団子と様々な具材を煮込んだ汁物。豆粒ほどの団子には「豆々しく健康で達者に、また無事で暮らせるように」との願いが込められている。ハレ食として結婚など祝いの席には欠かせないが、近年は栄養学上やスローフードの面から見直され、山形町の家庭料理としても定着しているという。なじみ深いふるさとの味に仕上げる工夫は「地場産の食材を使うこと」と大村さん。野菜に加え雑穀やきのこ類も地域の生産者から調達している。特にタモギタケは「すごくいい出汁が出るのでまめぶには欠かせない」そうだ。大鍋のタモギダケからは実に美味しそうな香りがする。山の滋味がたっぷり溶け込んだ汁も、まめぶの楽しみだ。

でんぷんをまぶしているので汁にとろみが加わる |

炊飯もセンターで行う。今日は黒豆で色付けした雑穀入りご飯 |

大村孝子さん。「自然のものを使い、手作りにもこだわっています」 |

頼もしい調理士さん達。手前左より、長内美由紀さん、栃元ウメ子さん。後ろ左より、森順子さん、芦沢京子さん、石川美由紀さん |
ほうれんそうは山形町の主要特産品。霜畑地区の鹿糠マリ子さんは、23棟のハウスで年間6種類程度のほうれんそうを栽培している。地域の気候風土に合った作物だが「連作に弱いから土づくりが大事だし、夏はできるだけ涼しい環境を作ってあげないと」と、その取り組みは女性ならではのきめ細やかさ。寒締めほうれんそうも終了した今、すでに春の準備に大忙しだ。
全校児童31人の霜畑小学校。「みんな家族の手伝いをするいい子ばかり。親や地域を大切にする心が受け継がれています」と稲葉慶孝校長先生はうれしそうに話す。地域の食にも親しんでいる子供たちは、まめぶはもちろん「ご飯もほうれんそうも大好き!」。競うようにおかわりをして、あっという間に食缶が空っぽになった。大村さんは「学校給食は食の大切さや正しい食習慣を伝える『生きた教材』。安全な地元の食材を使い、地元の味を守っていきたい」と、日々おいしい献立作りに取り組んでいる。

「ほうれんそうは温度が高すぎてもだめ」と鹿糠さん |

茎が長くしっかりしているのが美味しいほうれんそう |

鹿糠マリ子さん。地域でも早い時期からほうれんそう栽培に取り組んできた |
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