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例年になく雪が少ないとはいえ、木枯らしの冷たさが身にしみる1月下旬。 早朝の水沢小学校の給食調理室には、ひとあし早い春の食材が届けられた。
コンテナから現れたのは、特産品のひとつ「なばな」。鮮やかな緑色はまさしく春の色彩だ。「今日はこのなばなと、果報だんごを使った行事給食です」と水沢小の栄養士、菊地万里子さん。日頃から地場産物を取り入れた献立を作っているという。

1センチにも満たない萩の小枝も調理士さんの手作りだ |

小枝をだんご粉でひとつひとつ包む |

手早くだんごを作るのはベテランの技。手間ひまがおいしい給食の秘けつ |
東に北上川、西に胆沢川が流れる奥州市水沢区は県内屈指の農業地帯。水利と肥沃な土壌を生かし、稲作を中心とした複合型農業が展開されている。そんな地域の恵みを学校給食にも積極的に活用しようと、学校と生産者グループとの交流もさかん。菊地さんも「旬の農産物の状況を直接教えてもらえるので、安心して利用できます」と話す。

今日の食材と生産者を紹介する給食ひとくちメモを各教室に配っている |

1年生の教室で菊地さんがなばなを紹介。みんな興味しんしん |

「小枝が入ってたよ!」と元気にピースサイン |
この日の献立は、果報だんご汁、なばなの辛子あえ、焼き鮭、ご飯とりんご。
果報だんごは県南部に伝わる伝統的な行事食で、だんごの中に萩の小枝が入っている。全部のだんごには入れないので、小枝入りはいわば「当たり」。入っていれば果報(幸福)が授かるとされる楽しい風習だ。同小学校では校内にある萩の木から調理師さん達が切り出し丁寧に皮をむいて小枝を作り、だんごも完全手作り。手間はかかるが「ご飯も出来るだけ学校で炊くようにしています。温かいものは温かいままで提供したいから」と菊地さん。地場産食材の利用、伝統食を取り入れる水沢小の給食作りは高く評価され、昨年の「全国学校給食研究協議大会」で文部科学大臣表彰を受けている。

全国学校給食研究協議大会の表彰状を手に伊藤誠教頭先生もにっこり |

調理師さんは6人。手前左より、後藤悦さん、根岸久美子さん、後藤恵美子さん。後ろ左より、佐藤弘美さん、佐々木ハツミさん、小野寺光枝さん |

栄養士の菊地万里子さん。「給食で地域の食材のよさや行事食を伝えていきたいですね」 |
生産者の石川長喜さんは、長さ50メートルのビニールハウス4棟で、夏はピーマン、冬になばなを作っている。「土を壊せばいい作物は取れなくなる」とたい肥を使い、農薬は使用しないなど安心で安全な野菜作りに心を配りながら、新しい栽培技術も積極的に取り入れている。ちなみに葉を除かずになばなを出荷する方式は、石川さんが副会長を務める「アテルイ産直会」が始めたもの。「茎はアスパラ、葉はほうれんそう、芽は菜の花に似ている。丸ごと食べられますよ」となばなの魅力を教えてくれた。
水沢小の給食タイムでは、菊地さんからなばなと果報だんごのお話があった。「今日は1クラスに5個の果報だんごが入っています」。クラス中がざわめくなか、「あった!」「入ってたよ!」とあちこちから手があがる。幸せの小枝は、給食の思い出と一緒に大事にされていくに違いない。

新しい栽培技術も導入し、なばな生産に取り組んでいる石川長喜さん |

石川さんのビニールハウスではなばな「春の輝」が収穫の真っ最中 |

8月の種まきからミネラル散布や土壌改良など品質向上に努めたなばな。茎も葉も大きく甘みも充分 |

なばなは捨てるところのない野菜。花芽もコリコリして美味しい |
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